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或る日、木の枝に一羽の美しい鳥が舞い降りました。

『こんにちは、君は美しいね。』

木は思わず鳥に話しかけました。

『ありがとう。けれど海にはとてもかないません、僕は海から来た鳥です。こんにちは。』

木は昔からずっと海に憧れておりました。

森には花や虫や鳥や沢山素敵なものがありましたが、海はまだ見たことがありませんでしたのでいつか行ってみたいと想っていたのです。

『海はどのように美しいのですか?』

『白い砂や水があり、幾千もの波と風が揺れています、生き物も沢山いて美しく透明に光る永遠があります。』

『嗚呼……それは素敵ですね、僕も海を見たいのでどうか連れて行ってくれませんか?』

木はそう言って、山ほどの木の実を鳥に差し出しました。

『ええ、もちろんいいですよ。嗚呼ありがとう、僕はおなかが減っていたので助かりました。』

木の実をおなかいっぱいに食べて満足した鳥は、最後の一つを口にくわえ静かに飛び立ちました……。

丘を越え森を越え、いくつもの山を越えて広々とした白い砂浜に着いた鳥は、木との約束を果たすために木の実を清潔な砂に丁寧に埋めました。そして飛び去ったのです……。

季節が流れ、木の実は芽吹き、やがて木が育ちます。

『なるほど、海は本当に素晴らしい……』

蟹や魚や貝、空や波や風、沢山の美しいものを眺め、木はとても満足しておりました。

けれど、一つ気になっていたことがあったのです。それはあの日鳥が話していた永遠、どうしてもそれを見ることだけは叶いませんでした。

波間にはいつも、青く美しい泡沫(うたかた)が、ただ静かに漂っているだけなのでした……。

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