良く晴れた日曜日、日向の椅子に埋もれていた爺さんは、虚ろな眼差しで遠い空を眺めておりました……
月曜日の午後になると、よろよろと起き上がり、物置の奥で何やらゴソゴソ準備を始めました。
火曜日の朝早くには、静かに家を出て、水曜日、一日中休みなく進み続けました。
そうして、憧れた森の景色に身を置いた木曜日の夕方。
恋焦がれたクラウドナインに出逢いました……
ボロボロだった膝の痛みは和らぎ、心が震えます。
金曜日の夜、満ち足りた眠りに就いた彼は、微かに熱を帯びた美しい夢を見ました。
まだ見ぬ仔らのために、遠い僕らのために。
それから、すっかり酔いの醒めた土曜日の朝……鏡には、ぽっかりと穴の空いた顔が映っておりました。
時は、いずれ全てを壊します。
……大切なものが消え行くことを理解した彼は、その夜、また新しい冒険の夢を歩いておりました。
まるで、遥かな世界を目指す少年のように……
山吹の咲く道を。
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