誰も幸せに出来ない天使と、誰も不幸に出来ない悪魔。
似た者同士が、互いの悩みを相談しておりました。
悪魔が言いました……もしかしたら、月夜に暮らせば何も出来ない天使でも目立たず、怒られない気がする。
それなら君こそ、明るい真昼に暮らせば他の魔物が居ないから、馬鹿にされなくて済むと想う……天使も言いました。
そんな訳で二人は家を交換し、月夜の天使、真昼の悪魔となりました。
……遠い昔、落ちこぼれの庭での出来事です。
ところで、僕らが家を必要とするのは壁で森を隔てるためです。
しかし、部屋の中にその一部を残したくなるのは、やっぱり植物や生き物が好きだから。
旅人は家を持たない?
いいや、家があるからこそ旅が出来るのです。
そう、本当の孤独というのは集団の中にあるものです。
大勢の世界と誰も居ない世界、様々な生き物が暮らす星の……一人ぼっちの友達の物語です。
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