今日、東の森を歩いた時に、面白い子供たちと出逢って絵を描いたことを想い出しました……
普段僕は、歩きながら道端で目の合った人々とは何気なく挨拶を交わすことにしているのですが、子供たちに対しては怪しい人物と思われないよう声を掛けないようにしております。
しかしこんな時代でも時折、子供たちが先に挨拶をしてくれることがあるのです。
もちろんそういう場合には、すぐに気持ち良く『こんにちは!』と返す訳ですが、それと同時に必ず、まず初めに自分から挨拶出来なかった大人としての気恥ずかしさに苛まれ、なんとなく【いたたまれなく】なってまうのです。
……その日も、そんな感じでした。
その子たちは、蜘蛛の巣に枯れ草を飾りつけて『芸術だ!』と騒ぎながら遊んでおりました。
それを横目に、微笑ましくも感心しつつ通り過ぎようとした時のことです……
『こんにちはー!!何をしているんですか?』
『歩いて写真を撮っています、僕も一応芸術家なので。』
『えー!!本当!?』
という訳で、僕は画家である証拠を見せることになりました。
ノートや鉛筆は、少年が道端で豪快に広げたランドセルから取り出してくれたものです。
それぞれ、一通りリクエストの生き物を描いて、彼らの名前と日付を入れました。
盛り上がって二枚目の絵をせがむ少女に対し、『お前、子供みたいなワガママ言うなよ……』と一人の少年がたしなめると、彼女は『お前だって子供じゃん!』と答え、みんなで笑いました。
その少女は最後に、『私の名前忘れないでね!』と言いながら立ち去ったのですが……
僕は今日、その約束を守れなかったことに気がついたので、お詫びのしるしとして小さな物語にしました。
朗読はこちら
人や動物になって、虫や鳥や魚になって『歩いています』……今日もまた。